パワースーツだっけ?
高校の友達の結婚式で軽井沢へ向かう。
出会ってから15年が経っていると思うと時間の速さを感じる。
「え、もう俺30歳なの?!」
「そうです、あなたは紛うことなく30歳なんです。」
思い描いていた人生とは違うなぁ。
周りの友達が立派に見えて、全力で目を逸らそうとしてきた劣等感が頭をもたげる長野新幹線7号車。
現状を言い訳するのは容易いけれど、それを許さない自分がいるから生きづらいなぁ。
人間、誰しも何かにすがらないと苦しくなっちゃうのかな。
お金だったり、恋人だったり、犬だったり。
苦しい人に「すがるな!自分の力で立て!」なんて言うドSなことは僕にはできない。
ていうか、そんなこと言われたくない。
「うるせぇ!立てるなら立ってるわ!」
なんて言ってみたいけどね。
実際には不機嫌そうに黙るだけですけどね。
何かに寄りかかっていても、その姿勢が美しかったらいいんじゃない?
寝そべってたってセクシーな人はいるしね。
むしろ寝そべってる方がエロい、とかね。
ひとりで仁王立ちしてる30歳の男なんて怖いだけだし。
話しかけづらいし。
好かれないし。
むしろ嫌われ…
まぁひとりでスマートに立てる人はそのままで、
腰やら膝が痛くてひとりじゃ立っていられない人は何かに掴まったらいいんじゃないかな。
パワースーツとか着たっていいし。
工夫してテクノロジーに頼ろうぜ。
ひとりで立つだけが人生じゃないぞ。
(自分に言い聞かせるように)
軽井沢まであと22分。